
スペシャル対談Vol.2
「建築と人が好き」
信頼で紡ぐ家づくり
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- プリヤデザイン一級建築士事務所
代表 - 高取愛子
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- 株式会社ニカク工務店
- 代表取締役
- 二角康和
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- 株式会社ニカク工務店
- 代表取締役
- 二角康和
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- プリヤデザイン一級建築士事務所
- 代表
- 高取愛子
いつ頃から一緒にお仕事をなさっているのですか?
高取:
7〜8年前でしょうか。「北白川の家Ⅱ」で設計に入らせていただいてからのご縁だったと記憶しています。
いろんな工務店さんとお仕事をしたいと思っていた時期で、知り合いを通じて二角社長をご紹介いただきました。
「建ててくれるならどこでもいい」というわけではなく、私たちと想いを共有し、楽しみながら建ててくださる方を求めていました。「北白川の家」でご一緒したニカク工務店の現場監督さんが、どやったらやりたいことが実現できるのか一緒に考えてくださる素晴らしい方で。そこからいろんなお仕事で組ませていただいています。

二角: そうでしたね、それが最初でしたね。
高取: それ以降は、建築家展でのお仕事を主に、いろいろとご一緒させていただいています。
現場監督のお話も出ましたが、ニカク工務店と仕事を共にする“良さ”はどういった部分でしょうか?
高取:
私たち建築家にとって、打ち合わせの場に工務店の社長に立ち会いいただけるか、否か、これには大きな違いがあります。二角社長は、“いかに建築家を入れることが大事か”ということや、プロジェクトにおける建築家の位置付けについて、お客様に説明してくださいます。
また、“建築家が関わることで、いかに資産価値を上げるか”という点についても、確立した持論をお持ちです。打ち合わせに同席いただくことは、お客さんの信頼や安心感にもつながっていることと思います。

「建築家と建てる」はニカク工務店のポリシーですね。
二角: そうです。全てのお客様に提案していることです。
高取:
これまでのご経験から、建築家が入るメリット、デメリットをしっかりと把握されているからこそ、それらをお客様にも全面に打ち出して、お話を進めていってくださいます。
それと、二角社長自身、建築家が建てる建築や、建築家そのものが大好きですよね。
二角:
洋服の場合、同じ素材や色の生地を使っていても、規格のデザインの服と、デザイナーがデザインした服とでは
着心地や見た目の仕上がりが全然違ってくるのと同じで、建築家が設計した建物でも規格の設計の建物とでは全然違っていて住み心地や見た目が素晴らしく、こちらの想定以上のものを提案してくれます。
「コストがかかる」と思われがちですが金額以上の値打ちがあると思っています。

高取: 建築家が入った仕事は、コスト管理についても建築家の仕事の一つなので、そうでない仕事と比較して、コストに大きな差はないと考えています。二角社長は収益関係にも明るく、きちんと資金計画を立ててくださいますから、お客様はとても安心感があると思いますよ。

なるほど。では、高取さんが仕事をする上で大切にしていることはありますか?
高取:
設計を通じて、お客様とのコミュニケーションを進めていくことです。コミュニケーションと一言に言っても、単に「要望を聞く」ということではなく、心の中にある言葉で表現しにくい想いや、土地の特性や環境的な条件など、対話を重ねながら、それらを総合的に汲み取るように心がけています。
その結果、時に、言葉として伺った要望とは異なる建築の提案をすることもありますが、ほとんどの場合、驚きを伴いながらも受け入れていただける結果に繋がっています。
空間を作ることで、その人の生活や人生がどのように変わってくか、先程のファッションでいえば、“オートクチュール”のような、一人一人に寄り添う形で作り上げる設計とでも言いましょうか。そのためのコミュニケーションがとても楽しく、また、大切にしていることです。
二角: 私も「このお客様なら高取さんだ」って、ピーンとくるんですよ。お客様の思いや希望をしっかり汲み取ってくださるので、家づくりに対して細やかな要望や思いを持っている方を引き合わせると、うまくマッチしますね。
高取: この引き合わせる、マッチングさせるというのは、「人」をみているからこそできること。二角社長は「建築」も好きだけど、とても「人」が好きな方なのです。“見る目がある”と言えばありきたりですが、「人を見る力」に長けた方だと思います。
二角: それと、建築家さんの設計や建物をほぼ把握しているので、仕上がりのイメージを明確に持てていることも大きいです。

建築の現場における「人間力」を感じさせられるエピソードです。
高取: ちょっと言い方が難しいけれど、私は二角社長が人としてとても好きです。これって一緒にお仕事をさせていただく上で、とても大事なことだと思っています。契約が成立すれば社長の役目は終わりというのではなく、その後も“人としてのお付き合い”がずっと続いていく中で、私は安心して仕事を進めさせていただいています。
二角: 「北白川の家Ⅱ」は、若いご夫婦の「絶対に建築家と家を建てる!」というキラキラした熱い気持ちに応えたい、というところからスタートしました。プリヤデザインとの初仕事ということもあり、弊社としてもかなり力を入れたプロジェクトです。やはり「人」の情熱や想いに突き動かされる部分は大きいですし、なんとしても成立させたいという想いに駆られました。建築家にとって人の想いを形にすることは、とても力のいる仕事だと思います(笑)
高取: この住宅は、そんな皆の想いが外観に滲み出ているのか、7 年近く経った今でも、見学希望の多い作品です。工務店としての施工力はもちろんですが、社長のパーソナリティあってこそのお仕事だと思っています。
二角: 建築家が入ると、建築の価値が違ってくる。結果として、建てた方は絶対に得をする。これは間違いないです。お客様にとっての一番を、これからも建築家と共に提案していきたいですね。
ライター 岡田 有貴
カメラマン 久藤 美智子