ニカク工務店の建築技術
神社仏閣建築
神社仏閣の建築様式について
神社と寺院には異なる建築様式があり、主に屋根の形で区別ができます。
寺院は瓦や銅板などによる荘厳な屋根が大きな特徴であるのに対して、神社は茅や檜など自然由来の材料で屋根が造られてきました。これらの建築様式は「建てる」や「作る」を意味することに由来して「造り」と呼ばれます。
神社仏閣の建築様式は、中国の建築や仏教に影響を受けつつ、時代とともに変化をしてきました。
屋根内部の藁葺き構造
寺院の屋根の内部は藁葺き構造となっています。釘を使わず梁と梁を縛り上げることで強く固定されています。
縄だるみ曲線
寺院の湾曲した屋根は「縄だるみ曲線」と呼ばれます。この曲線は、理論的に考えられた曲線であり、屋根の上に行くほど勾配がきつくなっており雨水を効率よく落とすことができます。
向拝屋根
向拝屋根(こうはいやね)とは、神社仏閣の本殿や本堂の正面に柱を2本建て、庇を突出させ、礼拝のために設けられた張り出し部分のことを言います。本殿などに入る階段の上に設けられることが多いため、「階隠」(はしがくし)とも呼ばれます。
向拝の屋根を支える柱を向拝柱と言い、向拝柱と本屋根の柱の間は、海老虹梁(えびこうりょう)という曲がりのある水平材でつなぎます。
銅板葺き
銅板で屋根を葺くと耐食性が高くなります。また、加工もしやすいのが利点です。神社仏閣の屋根は曲線で表されることが多く、銅板はその曲線をより美しく見せてくれます。
年月を経て、銅の光沢はなくなり褐色となった後、緑青(ろくしょう)が付着して、緑青色になります。緑青は銅の腐食を防ぎ、屋根を長持ちさせます。
屋根を支える枓栱(ときょう)
枓栱とは、柱の最上部や軸部の上にあって軒を支える部分です。斗(ます)と肘木(ひじき)とを組合せ構成されており、屋根の荷重を分散させるために柱と軒の間に挟みます。このような組物を使うことで、台風や地震など大きな力が加わっても建物の強度を保ちます。
木鼻(きばな)という装飾
木鼻とは、柱を貫通する「頭貫」・「肘木」・「虹梁」の柱から突き出た部分の名称です。木鼻には彫刻などの装飾が施されます。もとは柱から飛び出る部分を直接加工していましたが、江戸時代以降は装飾目的が強くなり、それにつれ独立した部品とすることが主流になりました。これらは柱に引っ掛けて固定することから、「掛鼻」とも呼ばれます。